2024-06-07

2024年の最強ハイエンドスマホ「Galaxy S24 Ultra」が登場。AI機能やペン入力が役立ち、もちろんゲームにも強い!

※このページの内容はウェブメディア『4Gamer.net』記事を一部再編集して転載したものです。

数あるAndroidスマートフォンの中でも、最新のプロセッサや技術をいち早く取り入れているのが、Samsung Electronics(以下、Samsung)の誇るハイエンドスマートフォン「Galaxy S」シリーズだ。その2024年最上位モデル「Galaxy S24 Ultra」が、4月11日に発売となった。

Galaxy S24 Ultra(チタニウムグレー)

後段で詳しく説明するが、Galaxy Sシリーズの中でも「Ultra」の名を冠する端末は、スタイラス(ペン)入力に対応しており、本体内に専用スタイラス「Sペン」を収納できるのが大きな特徴の製品だ。さらに、Qualcomm製の2024年のハイエンドSoC(System-on-a-Chip)「Snapdragon® 8 Gen 3 for Galaxy」を採用しており、「Galaxy AI」と呼ばれるAIを活用した便利な機能を使えるのも見どころとなっている。
本ページでは、Galaxy S24 Ultraの実力を、ゲーム用途に焦点を当てて見ていこう。

なお、本ページで取り上げる端末は、Samsungが販売するSIMロックフリーモデル(オープンマーケットモデル)であるが、付属アプリや背面のデザインなど一部が異なることを除けば、KDDIやNTTドコモから販売される製品と違いはないので、性能や特徴はすべて同じものと考えてもらって構わない。

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目次

最新のハイエンドSoCとそれを冷やす冷却機構を内蔵

まずは、簡単にGalaxy S24 Ultraのスペックを確認しておこう。
冒頭でも触れたとおり、Galaxy S24 Ultraは、SoCとしてSnapdragon® 8 Gen 3 for Galaxyを採用している。これは、Qualcommの最上位プロセッサである「Snapdragon® 8 Gen 3」をベースに、Galaxy S24シリーズ向けに最適化したものであるという。

Snapdragon® 8 Gen 3は、8基のCPUコア「Kryo」を組み合わせたもので、最も性能が高い「プライムコア」を1基、それに続いて性能が高い「高性能コア」を5基、性能はそこまで高くないが、消費電力を抑えた「高効率コア」を2基搭載するのがポイントだ。

CPUだけでなく、GPUコアの「Adreno 750」や、カメラ機能の映像処理に使う「Spectra」、5G通信対応のモデム機能、そしてAI処理プロセッサ「Hexagon NPU」(以下、NPU)といった機能を組み合わせて、Snapdragon® 8 Gen 3は構成されている。

Qualcommが公開したSnapdragon® 8 Gen 3の概要をまとめたスライド

とくにポイントとなるのは、NPUの部分で、AIに用いる推論処理の性能が前世代比で1.4倍まで速くなったこと。Galaxy S24 UltraのGalaxy AIでも、その実力を遺憾なく発揮している。

また、SoCを冷やす冷却機構も強化されており、とくに熱を広げて拡散するベイパーチャンバーは、2023年モデルの「Galaxy S23 Ultra」と比べて2倍に大きくなっているそうだ。

製品発表会で披露されたGalaxy S23 Ultra(左)と、Galaxy S24 Ultra(右)に搭載するベイパーチャンバー

ディスプレイには、約6.8インチサイズで解像度1440×3120ドットの有機ELパネルを採用。最大リフレッシュレートは120Hzで、ゲーム側が対応していれば、60Hz程度が一般的な通常のスマートフォンよりも、滑らかな表示を期待できるだろう。パネルの最大輝度は2600nitsに達しており、太陽光のまぶしい屋外でも画面がしっかり視認可能だ。

内蔵するメインメモリは容量12GBで、ゲーム用途にも十分な量だ。内蔵ストレージ容量は、最小でも256GB、最も多いモデルでは1TBもあるので、データサイズの大きなゲームを多数インストールする人でも余裕を感じられるだろう。なお、カメラについては、後ほど説明しよう。

公称本体サイズは79(W) × 162.3(D) × 8.6(H)mmで、公称本体重量は約233gと、さすがにスマートフォンの中では大きく重いほうではある。ただ、画面サイズが大きく、高性能なプロセッサを搭載していることからすると、妥当な範囲ではあろう。とくに、操作する指で画面の一部が隠れてしまうスマートフォン用ゲームでは、画面が大きいほうが映像を楽しめるだけでなく、指で隠れる部分が相対的に少なくて済むというメリットもある。

そんなGalaxy S24 Ultraの主なスペックを確認しよう。

ソリッドでモノリスのようなGalaxy S24 Ultraのボディ

前置きのスペック話が長くなったが、Galaxy S24 Ultraのボディを見ていこう。

Galaxy S24 Ultraの外観は、ごく普通の大画面スマートフォンといった雰囲気で、電車の中で使っていても悪目立ちはしない。

Galaxy S24 Ultraの前面(左)と背面(右)。背面に並ぶ4つのレンズ+センサーが目立つ

写真を見ても分かるが、前面側は上下左右のベゼル幅が3mm弱しかないので、画面の大きさが際立つ。前面上部のインカメラは、画面上に孔を開けて配置するパンチホールタイプだ。

背面の左上にあるアウトカメラは、4眼式で、標準と広角、2種類のズームレンズを組み合わせている。標準カメラは、画素数が約2億画素という、非常に高精細なものだ。

アウトカメラ部。1.2mmほど突出した大きな3つのレンズは、左から広角、標準、光学5倍ズーム。奥側に見える小さいレンズは、左がセンサー類、右が光学3倍ズームとなっていた

今回は、カメラの評価に重きを置く企画ではないので、簡単に試した範囲であるが、筆者が日常的に使っている2世代前の「Galaxy S22 Ultra」に比べると、Galaxy S24 Ultraはセンサー類が進化しているのか、自動ホワイトバランス調整がより賢くなり、色味の異なる照明下でも目で見た色に近い写真を撮影できるようになっているのは確認できた。

取材での撮影は、カメラを持ち歩かずスマートフォンで済ませている筆者だが、撮影環境が良くない状況だと、「やはりカメラが欲しいな」と思うことはたまにある。しかし、Galaxy S24 Ultraであれば、カメラがあれば……と思う場面はほとんどなくなりそうだ。

背面のズームレンズ右側には、NFCのアンテナ位置を示すマークがある。ショップ店頭でのタッチ決済のときに使いやすい位置だ。おサイフケータイに対応しているのはもちろん、海外でも増えてきたタッチ決済にも利用できる(※対応しているサービスに加入していれば)

Galaxy S24 Ultraは、これまでのGalaxy Sシリーズとはやや異なり、前面のカバーガラスがフラットになっているのが、外観上の特徴でもある。これまでのGalaxy Sシリーズは、カバーガラスから左右側面にかけて、丸みを帯びたデザインになっていた。ただ、この丸みが、とくに後段で説明するSペンを使って左右端で入力するときに、邪魔になることもあった。その点、カバーガラスがフラットになったことで、丸みが理由の操作ミスはしにくくなっただろう。

なお、Galaxy S24 Ultraの左右側面は、丸みを帯びているが、これまでよりもややカーブが緩やかになった。フラットな前面と合わせて、全体的に「モノリス」のような四角い板っぽい印象を受ける人が多いのではなかろうか。好みは分かれるかもしれないが、筆者は好印象に感じている。

その左右側面は、右側面に音量調整ボタンと「電源 / スリープ」ボタンがある。「電源 / スリープ」ボタンの下側には、タッチセンサーのような凹みがあるが、これはボタンやセンサーではなく、5G通信で使うミリ波用のアンテナを覆っているカバー部分だ。

Galaxy S24 Ultraの右側面(※ディスプレイ面を下にしている)。左から音量調整ボタン、「電源 / スリープ」ボタン、ミリ波用アンテナのカバー部となっている

左側面には、アンテナ用の切れ目がある以外、ボタン類は何もない

上側面には、マイク兼スピーカー孔があるだけ

Galaxy S24 Ultraの下側面左側には、冒頭でも触れたGalaxy S24 Ultraの特徴である収納式スタイラス「Sペン」を収納しているスロットがある。露出しているSペンの頭を軽く押し込めば、ポンと出てくる仕組みだ。

Galaxy S24 Ultraの下側面。左から、SIMカードスロット、マイク孔、USB Type-Cポート、スピーカー孔、Sペンの並び。ちなみにGalaxy S24 Ultraは、nano SIMカード 1枚と内蔵型のeSIM 1枚のデュアルSIM仕様だ

Sペンを取り出した状態。長さは実測で11cmほどあり、これだけ大きなものを内蔵

Sペンは、内部に極小のバッテリーとBluetooth通信機能を内蔵したスタイラスである。Galaxy S24 Ultraの画面上で文字やイラストを書くだけでなく、Sペン上にあるボタンをカメラのシャッター代わりにするといった使いかたができる多機能なスタイラスだ。

ゲームで使うことはあまりないだろうが、スマートフォンでパッと取り出してデジタルのメモを取れたり、写真やスクリーンショットに手書きで描き込みを入れたりできるのは、ほかのスマートフォンでは滅多にない利点である。実際、筆者はSペンによるメモ取りがとても便利なので、ここ数年はGalaxy SシリーズのSペン付き製品を愛用しているほどだ。

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ゲームプレイをアシストする「Game Booster」

Galaxy S24 Ultraは、ゲーム特化のスマートフォンではないが、快適で便利なゲームプレイをアシストする機能として「Game Booster」を備えているのも見どころである。

Game Boosterは、Samsung製スマートフォンにおけるゲーム機能のまとめ役である「Gaming Hub」から設定できるほか、プレイ中のゲーム画面上に呼び出して使いたい機能を使ったり、設定を変更したりできる。

ゲームをプレイ中にGame Boosterを重ねて表示した状態。中央にある「ショートカットバー」は、通知抑制やスクリーンショット、録画、Webブラウザや「YouTube」をゲーム画面上に重ねて表示するといった機能へのショートカットだ

ショートカットバーだけを表示するモードもある。上画像の右側(※赤枠内)にあるマークに指を当てて、左に向かってスライドさせると、ショートカットバーが表示される(下)

Game Boosterの主な機能は、以下の3カテゴリに分けられる。

通知や着信を抑制して、誤操作を防止する機能
CPUやGPUの使用率、端末の温度を監視したり、性能を通常時よりも高めたりする機能
スクリーンショット撮影やプレイ動画の録画、動画視聴

Gaming HubにおけるGame Boosterの設定画面

通知や着信の抑制は分かりやすい。ゲームをプレイ中に通知が出てきて操作を邪魔するのを避けたり、電話の着信をスルーしたりできるものだ。着信のスルーは人に寄りけりだろうが、通知の抑制はゲームに集中したいときに助かる機能であろう。

SoCやメインメモリの使用状況を監視する「パフォーマンスモニター」は、監視するだけでなく、その情報をもとにしてSoCの処理性能を自動で調整するというものだ。ゲームをプレイすればするほど使用状況の情報が増えていくので、自動調整はより賢く、ゲームに合った調整が可能になる。

なお、Game Booster上にある大きなボタン「ゲーム優先モード」をオンにすると、通知や着信の抑制と,SoC性能やネットワーク帯域のゲームへの優先割り当てをまとめて有効にできる。難しいことを考えずに、とにかくゲームに集中したいときは、これをオンにしよう。

Galaxy S24 Ultraの動作をゲームに特化させる「ゲーム優先モード」ボタン

Game BoosterのショートカットバーでYouTubeのボタンを押すと、ゲーム画面上に小さなウインドウでYouTubeを表示できる。攻略動画などをパッと見たいときに役立つ

さらに、Galaxy S24 Ultraには、「ゲームプラグイン」という追加のゲーム向け機能もある。Gaming Hubとは別に、Galaxy Storeからユーザーがインストールする必要があるものの、プレイ中のフレームレートやSoCの動作状態を表示したり、Game Boosterよりも細かくスマートフォンの動作状態を制御できたりと、高度な機能を利用できるので、こだわり派のゲーマーにお勧めだ。

追加のゲーム向け機能をインストールできるゲームプラグイン(左)。「Gaming Booster Plus」(右)では、標準ではできない描画品質や最大フレームレートの細かい設定が可能だ

ゲームプラグインのひとつである情報バーの「Perf Z」は、ゲーム画面の上にフレームレートやCPU・GPU負荷率、端末の温度などを表示して確認できる。計測ログを保存する機能はないので、ベンチマークテスト向けではないが、ゲームプレイ中に端末の動作状態を把握したいというゲーマーにはお勧めできる機能だ。

『原神』の画面上にPerf Zを表示した状態

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『原神』と『CoD Mobile』でゲームプレイの実力を試す

続いては、Galaxy S24 Ultraでゲームをプレイして、その実力を確かめてみよう。

まずはお馴染みのアクションRPGの『原神』を試す。『原神』のグラフィックス設定を最高まで高めると、描画品質は上がる代わりに処理負荷も相応に高くなる。その状態で快適にプレイできるかどうかを確かめようというわけだ。

まず、『原神』の「画面」設定で、グラフィックス欄の「画質」を「最高」に設定する。そのうえで、フレームレートを「60」に上げた状態が、本稿執筆時点において最も高画質=高負荷な設定だ。

プレイ中のフレームレートを確認する用途には、先述したゲームプラグインのPerf Zを使用した。ログの保存はできないので、目視での確認になる。

『原神』の画質を最高に上げたうえで、フレームレートを60にした状態

この状態で『原神』をプレイしてみたが、さすがにGalaxy S24 Ultraは快適だ。プレイ中は安定して55~60fps程度で表示している。

画面上端中央に表示されているフレームレートは、『原神』の機能ではなく「Perf Z」で表示したものだ。フレームレートを見ながらプレイしていたが、55~60fps程度は常時出ていた

戦闘時の元素スキルや元素爆発、法器の溜め攻撃のように派手なエフェクトが飛び交う場面になると、さすがに60fpsに貼り付くことはないが、見ている限りでは50fpsを下回る場面はなかった。ディスプレイサイズが大きいので、画面は見やすく迫力もある。

『原神』を最高の画質で快適にプレイしたいなら、Galaxy S24 Ultraは文句なくお勧めできる端末だ。

派手なエフェクトが出てもフレームレートは安定している

次に、FPSの『Call of Duty: Mobile』(以下、CoD Mobile)を、Galaxy S24 Ultraでプレイしてみよう。ちなみにGalaxyブランドでは、2023年に『CoD Mobile』のeスポーツ大会「#PlayGalaxy CUP ~Call of Duty: Mobile~」を開催したこともあり、本作とのつながりは深い。

また『CoD Mobile』は、ゲーム側のフレームレートを60fps以上に設定できる。Galaxy S24 Ultraの有機ELパネルは最大リフレッシュレート120Hz(=120fps)なので、その実力を試すにはもってこいだ。ただ、ゲーム側の「グラフィック品質」を「最大」に設定すると、フレームレートも「最大」設定止まりとなり、最大フレームレートは60fpsになる。120fpsで表示するには、フレームレートを「ウルトラ」に設置する必要があるものの、その場合、「グラフィック品質」は「普通」が上限となってしまう。

そこで今回は、Galaxy S24 Ultraのディスプレイ性能を生かすべく、画質最優先の「最大&最大」設定と、フレームレート優先の「普通&ウルトラ」設定でプレイしてみた。

画質を最大化した「最大&最大」設定(上)と、フレームレート優先の「普通&ウルトラ」(下)設定の画面

まずは「最大&最大」設定でプレイ。フレームレートは、60fpsにほぼ貼り付いており、55fpsを下回る場面は見られない。映像の品質も高く、画面の大きさもあって迫力があり、プレイもしやすい。

撮影のためにPracticeをプレイ。BOTキャラが多数表示されている場面でも、フレームレートは60fps前後で推移していた

次に、フレームレート優先の「普通&ウルトラ」設定を試す。こちらもフレームレートは120fpsにほぼ貼り付いており、快適さという点では「最大&最大」設定以上に感じる。動き回る敵を視認しやすいのだ。

さすがに画質設定が下がっているので、よく見るとキャラクターの影が表示されていなかったり、建物の壁の表現が簡略化されていたりするのが分かる。とはいえ、プレイ中はまず気にならない程度で、気にしている余裕もないので支障はない。『CoD Mobile』なら、「普通&ウルトラ」設定のほうがお勧めだ。

Galaxy S24 Ultraで「普通&ウルトラ」設定なら、フレームレートは120fps前後で安定する。お勧めの設定だ

どちらの設定でもいろいろとプレイしてみたが、やはりFPS/TPSタイプのeスポーツ系タイトルでは、高フレームレート表示の利点は大きい。120fpsでの表示で快適にプレイできるGalaxy S24 Ultraは、eスポーツタイトルをプレイするのにも適していると言えよう。

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Galaxy S24 UltraのCPU&GPU性能をチェック

さて、Galaxy S24 Ultraの特徴や見どころを一通り説明してきたが、ベンチマークテストを使って、Galaxy S24 Ultraの性能を検証してみよう。

まずは、マルチプラットフォーム対応のベンチマークアプリ『Geekbench 6』を使って、Galaxy S24 UltraのCPU性能とGPU性能を計測してみることにした。今回は比較対象として、1世代前に当たる2023年のハイエンドSoC「Snapdragon® 8 Gen 2」を搭載するA社製のスマートフォン(以下、SoC名で表記)と、2世代前のハイエンドSoC「Snapdragon® 8 Gen 1」を搭載するGalaxy S22 Ultraを用意して、同じテストを実行した。

まず、CPU性能を計る「CPU benchmark」の結果を見てみよう(グラフ1)。

Single Core(シングルコア)の性能は、Snapdragon® 8 Gen 2とGalaxy S22 Ultraに対して、それぞれ約26%、約33%も高い。Multi Core(マルチコア)性能に至っては、比較対象よりもそれぞれ約33%、約83%も高くなっている。1年前の端末に対しても、けっこうな差を付けているが、2年前の端末に対しては圧倒的な差を付けていると言っていい。

次に、Geekbench 6の「GPU benchmark」を計測してみる。ここでは、Galaxy S24 UltraとGalaxy S22 UltraのGPU性能を限界まで使わせるため、ディスプレイの「画面の解像度」設定で、ディスプレイの最大解像度を選択した状態で実施している。

結果はグラフ2のとおり。

※Galaxy S24 Ultraは1440×3120ドット、Galaxy S22 Ultraは1440×3088ドットで計測

「OpenCL」は、古くからあるグラフィックスAPIで、Android用ゲームの多くが利用しているものだ。Galaxy S24 Ultraの性能は圧倒的で、1世代前のSnapdragon® 8 Gen 2よりも約70%、2世代前のGalaxy S22 Ultraとの比較では、約175%も高いという3倍近いスコアを叩き出している。

一方の「Vulkan」は、OpenCLよりも新しい世代のグラフィックスAPIで、先進的なグラフィックスのゲームが利用することが多い。影や反射の表現を「レイトレーシング」で描画する機能にも対応する。そのVulkanを使ったテスト結果は、比較対象に対してそれぞれ約86%、約147%高く、これまた圧倒的な性能差を見せつけた。ここまで明確な差がつくとは思っていなかったほどだ。

続いては、3Dグラフィックスベンチマークアプリ「3DMark」で、よりゲームに近い3Dグラフィックス性能を検証してみる。実施したテストは、「Wild Life Extreme」とリアルタイムレイトレーシング対応テスト「Solar Bay」の2種類だ。どちらもVulkanを使って描画する。ただ、Galaxy S22 UltraのSoCは、リアルタイムレイトレーシングに対応していないので、Solar BayはGalaxy S24 UltraとSnapdragon® 8 Gen 2での計測となることをお断りしておく。

3DMarkの計測結果をグラフ3にまとめた。

ゲームに近いグラフィックス表示のテストなので、Geekbench 6ほどの差は付かなかったが、それでもWild Life Extremeでは、比較対象に対してそれぞれ約34%、約100%もの差を、Solar Bayでも約65%の差を付けて圧勝した。とくに、リアルタイムレイトレーシングを駆使するSolar Bayで高い性能を発揮しているのはポイントで、今はまだ少ないレイトレーシングを活用したスマートフォン向けゲームが増えてきたときに、Galaxy S24 Ultraなら余裕を持って対応できるかもしれない。

それにしても、ここまで性能差があると、2023年のハイエンドSoC(Snapdragon® 8 Gen 2)を搭載する他社製スマートフォンでも表示が重い高負荷なグラフィックスのゲームを実行しても、Galaxy S24 Ultraなら快適な動作が期待できるだろう。正直、この性能差には驚いた。

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ゲーマーにも役立つAI機能「Galaxy AI」

冒頭でも触れたが、Galaxy S24 Ultraにおける目玉機能の1つが、さまざまなAI機能群「Galaxy AI」である。

たとえば「通話アシスト」という機能なら、不慣れな外国語での音声通話でも、自動で音声認識から翻訳、翻訳した言葉を読み上げたり、テキストで表示したりできるのだ。もちろん、プロの通訳ほど正確ではないかもしれないが、海外旅行のときに威力を発揮してくれそうだ。

日本語や英語、韓国語をはじめ、多彩な言語に対応するリアルタイムのAI通訳機能は、海外旅行で役立つだろう

また、メッセンジャーアプリを使うときに、日本語で入力すると自動で外国語に翻訳したり、逆に外国語のメッセージを日本語に自動で翻訳したりできる「チャットアシスト」という機能も役立ちそうだ。

ゲーマーに役立ちそうなGalaxy AIの機能としては、「かこって検索 with Google」が挙げられよう。これは、もともとGoogle純正スマートフォンで利用できた機能だが、Galaxy S24 Ultraでも利用できるようになったのだ。

使いかたは簡単。検索したい画像や文字が画面に表示されている状態で、Androidの「ホーム」ボタンを長押しすると、画面が検索対象を選択する状態に切り替わる。その状態で、対象の画像を文字を指やSペンで囲むと,囲んだ対象が自動でGoogle検索にかかる。

たとえば、ゲームをプレイ中に名前も分からないキャラクターやアイテムが出てきたとき、スクリーンショットを撮って対象を「かこって検索」すれば、Googleの画像検索で結果が出るというわけだ。

『原神』のスクリーンショットで、キャラクターを囲むと(左)、画像検索で適切な結果を自動検索できた(右)

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東京駅を周辺の高層ビルから見下ろす角度で撮った分かりにくい写真でも、「かこって検索」は正しく検索できた

画像や写真の検索だけでなく、たとえば外国語のアプリやWebサイトで、画面に何と書いてあるのか分からないときにも役立つ。「かこって検索」を使って分からない文字を囲めば、文字を認識して日本語に変換してくれるのだ。

「かこって検索」は、対象のアプリを選ばない、なんならゲームに対しても使える機能なので、ゲーマーにもなかなか便利ではないだろうか。

高性能でAI&ペン。ゲームにもそれ以外にも強いGalaxy S24 Ultra

だいぶ長くなってしまったが、そろそろまとめに入ろう。

Galaxy S24 Ultraは、2024年を代表するハイエンドスマートフォンと呼ぶに相応しい高性能と多機能を有するスマートフォンだ。とくに前世代から大幅に向上した性能面には、文句の付けようがまったくないほど。どんなスマートフォン向けゲームでも、快適にプレイできること請け合いだ。

また、翻訳や検索に役立つGalaxy AIも便利だ。撮影した写真から、角度補正や被写体を動かしたときに不足する背景をAIが生成してくれる機能は、パッと撮ったスナップ写真でも見映えをよくするのに役立つ。Galaxy S24 Ultra上でさまざまな写真編集をAIがアシストしてくれるので、大抵の用途はPCを使わなくても足りるだろう。

Sペンによるメモ書きも、紙のメモ感覚でパッと出してサッと書けるので、ちょっとした場面で役立つかなり便利な機能である。使い慣れると手放せなくなるほどだ。

ゲーム用途に適したハイエンドスマートフォンは数あるが、Galaxy S24 Ultraは、それにプラスして日常使いにも便利な機能を豊富に備えたスマートフォンとして、ゲーマーにもお勧めできる選択肢となるだろう。

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